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2016年12月29日  カテゴリ[アフリカ・ケニア紀行 ]

アフリカ・ケニア紀行 ⑥ギガバレスラム









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ケニアの首都ナイロビの人口は300万人、治安は並みのやや下だろうか。



サファリのテントで肉食獣と隣り合わせの3泊を過ごした我らに怖いものはないのですが



ナイロビでの、一人歩き、夜の徘徊は絶対しないようきつく申し付けられていた。



それでも、散歩したいのなら、槍と剣を携えたマサイの戦士を護衛に付けてはと思いもしたが



強盗に襲われる前に、パトカーで連行されると思う。





今日は、ケニア訪問の最大の目的である市橋先生の施設を訪ねる。



此方の都合でスケジュールを延ばした為、学校は冬休みになっていた。



そこで、同じ系列の幼稚園で待ち合わせをすると、6名の生徒さん達が出迎えてくれた。



スラム街には発達障害の子が多く、その原因の一つとして、親の栄養失調が胎児の成長を妨げているという。



発達障害には、自閉症、学習障害、注意欠如多動性障害などがありまが、



適切な療育や訓練を受けることにより、症状は改善され、社会への適応能力が上がると聞きます。



最初にお礼の言葉を述べたリーダーのアレックスには親はなく、この障害を持っている。



しかし彼が普通の子供にしか見えなかったのは、親代わり育てた市橋夫妻の愛情が注がれているからだと思う。





デニスは冬休みの間、この幼稚園に出てきて作業の手伝いをしている。



彼が一日の中で口にする食事は、学校の給食だけだそうだ。



冬休みは、当然学校は休みですが、彼の為に仕事を作り昼食を与えている。





大半の生徒がスラムで生活をし、この学校に通っています。



授業料は免除されますが、国が補うのではなく、市橋先生の所属する団体や個人の寄付で賄っている。



子供一人に掛かる教育費や給食費が年6万円。



1年分の経費を個人で寄付する人や、複数で集め寄付する人達もいるそうです。



ライオンズや友人達から預かった寄付金で、子供3名を一年間教育できますと、喜んでおられた。



美々津ゴルフ場の北村副支配人から頂いたネーム入りのウエアはサッカーのユニホームとして



お菓子やおもちゃは、クリスマスに使わせて頂きますと、サラ先生が目を細めた。



お菓子は、その場の6名に分け与えてもいい量だった。



サラ先生のその一言が、今でも、頭の奥に残っている。















これから、市橋先生と、子供達が住む「キバガレ・スラム」を訪問する。



まず、観光で行く事はないだろうし、入ることも出来ないし、入りたい気持ちにはならない。



入ったら出てこれないような、治安も悪いだろうし、怖い、そのイメージしかないのである。





首都とは思えないほど道は狭く、車が停車した正面に、鉄の門が見えた。



門番は、ことのほか人相が悪く、鋭い目は獲物に襲い掛かるライオンの様だ。



野生の大国では野獣も恐れぬドライバーであったが、借りて来た猫の様に小さくなっている。



ここは市橋先生の顔パスで、子供達の顔を見てさらに、門番の表情はマフィアから牧師に変わった。



市橋先生は、スラムの子供達に手を差し伸べた救世主で、市長よりも、知名度も信頼度も高い。



強面の青年達も、神父の前では、子羊の様に大人しく、僕達は先生の背中にピタリと一列に行進した。





写真撮影はNGだったが、特別に隠し撮りの許可が出た。



おへその辺りでシャッターを切っているので、ピンボケと枠外しはやむを得ない。



幅4m程の赤茶げた道の両脇には、店とは名ばかりの台の上に干し上がった魚が積み上げてある。



これを出汁にするのか、このまま食べるのか、湯で戻し塩焼きにするにしても、



この干し物は、優に賞味期限を3周はしてますな。





生徒が自宅に案内すると、人一人がやっと通れる狭い路地を奥へ奥へと入って行く。



足元はゴミが何層にも踏み固められ、しめった赤土を踏むごとに靴の重さが増していった。



建物の外壁はトタンで、中に内張りはなく、強風が吹こうものなら、ひとたまりもない。



生徒が腕を引いて連れて来た老婆は、彼女のおばあちゃんだった。



外国で一番最初に感じるのは、顔立ちや肌の色の違いだったりする。



僕達がアフリカ人の顔をまじまじと見るように、相手様も、此方をまじまじと眺める。



お婆様が、僕達とこころよく握手をしてくれたのは、市橋先生と同じ民族だったからだと思う。



自慢の孫の肩を誇らしげに抱き寄せ、僕らをいつまでも見送ってくれた。





ケニアに渡り牧師となり、最初のクリスマスの日に集まってくれたスラム街の子供達。



キャンディー欲しさに、しがみついて来る小さな信者たちが、たまらなく愛おしい。



「この子達の為に学校を造りたい。」長い年月を掛けて、それは実現した。


























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