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2015年11月29日

#11『コンタクト』



科学と空想をうまく結合させたものをなんというか。それをサイエンスフィクション、つまりSFという。そしてこの作品はそれを見事に表現した傑作だ。


遠いところから聴こえる音や声に夢中になってしまったお嬢ちゃんがそのまま大人になり、宇宙の遥か彼方を探求する研究を進めていたら彼女の耳に宇宙からのコンタクトが届いて全世界が驚いて…というお話。

まぁ、まずは冒頭から度肝を抜かれる非常に心奪われるシーンから始まる。このシーンのためだけに膨大な時間がかかったらしいのだが、とても美しい。『2001年宇宙の旅』は未知なる空間、時空に行く際にどんどん前に進む映像を描き出したが、今回はそれの逆をやっています。

あと、子供の頃の主人公アロウェイちゃんが急いで薬を取りに行く、ただそれだけのシーンがあるのだが、まぁ間違いなく仰天するでしょうね。思わず巻き戻ししちゃうぐらい不思議なシーンだ。どうぞ、目を奪われてください。

さて、この映画は実際に宇宙からの接触があった時、人類はどのように行動するか、に焦点をあてた映画だ。宇宙人は我々を滅ぼそうとしているとか、地球外生物の存在は宗教の名の下に存在するわけがないなど、政治や宗教の側面からこの現象について言及する。

ジャンルはSFながらも会話のシーンや資金繰りに苦労してますって話が多く、派手なシーンは映画全体のほんの僅かだ。恐らく目指すべき所が宇宙探索過程の大変さやリアルさを描きたかったこともあるためにこのような作りになった。

でもまぁ、この監督さんの作品はポンポン時間を飛ばすように物語を進ませ、かつしっかり繋がりは切らせないから、テンポは悪くない。さすが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの監督だ。ある意味次元転移装置も出てくるしね。

そして作り手達はこの「もしもの時の我々の反応」という物語に素敵な要素を付け加えた。

主人公アロウェイは実証された科学データを第一に信じる無神論者。だが、そんな彼女が遠くの音や声を探求する理由の根源には天国にいってしまった母や父の声が聞こえるんじゃないか、という切なる願いがある。

この彼女の動機が『コンタクト』を"もし地球外生物からコンタクトがあったら?"という単なる仮定の現象を捉えようとした作品ではなく、少女の願いを宇宙が答えるという非常にファンタジックな要素を取り込み、かつ、人間ドラマとして深みを与えた傑作に高めた。

科学の力によって実現できるかもしれない可能性と、叶うはずのない願いを信じる気持ちが宇宙の果てに届いた時にアロウェイが出逢う存在とは…これは観てからのお楽しみにとっておこう。

最近では『インターステラー』も同じ系統の作品ではあり、面白かったんだけど…どこか引っかかる。ネタバレになるので詳しくは書かないが、観終わった後寂しい気持ちなってしまう作品だった。

けれど『コンタクト』は『未知との遭遇』や『2001年宇宙の旅』同様、「我々は一人ではない、孤独なんかじゃないんだ」という願いを宇宙に馳せることができる夢のある映画だ。

これを観るのは天気がよく、雲がない夜がいい。

きっと観終わった後、空を見上げたくなるから。

次回は、『スケバン刑事』から影響を受け、女の子が変身して闘うコンセプトに突き抜けた暑さをトッピングさせた
テレビアニメ
『キルラキル』
について12/5に紹介予定。

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